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概要

海外探検隊_7

国立台湾海洋大学の学生と共に博物館で研修を行いました。この博物館は、古くなった火力発電所の建物を再利用して建てられた、非常に大きな施設です。海洋環境、海洋生物、船舶など、海に関する様々な分野の展示がありました。また、ただ観覧するだけではなく実際に触れて体験できる展示物も多くあり、来館者がより興味を持ち、理解を深められるように工夫されていました。特に印象的であったのは深海をテーマにした展示です。深海に沈んだ鯨骨と周りに集まる生物たちを、広いスペースを生かして実寸大で表現している様子は圧巻でした。また、海中の様子を体験できるVR技術も導入されており、従来の展示方法に加えて最新の技術も利用した、まさに海洋科学の最先端を行く博物館でした。博物館を内側から見る事ができたこの研修は海洋環境学を専攻している私にとって非常に興味深いものとなりました。 (坂本 さら沙)27博物館研修:国立海洋科技博物館私はVianney先生のもとで研究を行いました。研究室ではサンゴの分布や環境の変化によるサンゴへの影響を調べています。私に与えられた課題は、浅海域の海底の生態系に影響を与える要因を調べることです。実際に台湾北東部で潜ってデータを収集、集計して他の海域のデータと比較しました。その結果、北向きの海岸ではサンゴが多く、東向きの海岸では大型藻類が多いことが分かりました。先行の研究より撹乱(風や波)が大きい場所ではサンゴより海藻が増え、小さい場所ではサンゴが多いことが分かっています。これらの結果をもとに私は「生態系の違いは台風による撹乱の規模の違いに起因する」という仮説を立てました。発見したことは小さな事柄です。加えて証拠の不足や理論的な穴も多い仮説です。しかし、自分の手で集めたデータを自分で集計し規則性を探した経験は大きな財産になりました。また、私達の研究室は国際色豊かで、学生は5つの国から集まっていました。そのような環境で研究や交流をする経験は日本の学部生では中々できないため、毎日が刺激的で勉強になりました。同時にこのような経験をさらに積みたいと強く思いました。この研究活動を通して海外で勉強するとはどのようなことかを知ることができました。長期留学を目指している私にとっては大きなステップになったと感じます。最後に3週間お世話になったVianney先生やラボの方々に深く御礼を申し上げたいと思います。謝謝悠 (折田 清隆)Functional Reef Ecology Lab (Vianney DENIS 先生)Marine Analytical Chemistry Lab (白書禎 先生)私は、国立台湾大学海洋研究所で海洋化学研究室に配属されました。研究室では、最初に「海洋化学とは何か」について、水族館で魚の謎の大量死が発生した事例を元に、それがなぜ起こったのかを溶存酸素量や窒素量、植物プランクトンなどの量から原因を追求していった経緯を丁寧に教えていただきました。さらに、その調査内容をたくさんの人々に伝える時、いかにわかりやすく伝えられるかも重要になっていきます。そのため、様々な物質が複雑に絡み合った現象をわかりやすく伝えるために、多様な図やグラフを動かすエクセルのマクロという機能を教えていただきました。機械音痴な面もある私にとって使いこなすのは苦労しました。その他にも、台湾北東にある亀山島にサンプリングに行ったり、大学院生の方が取り組まれている研究について教えていただきました。とても幅広い活動をさせていただき、様々な視点からぼんやりとしか知らなかった海洋化学を知ることができました。将来の研究分野の選択肢として漠然と海洋化学もいいなと考えていた私にとって、他の同級生より先取りで実際に海洋化学に触れられたことは、自身へのアドバンテージとなりました。(疋田 愛理)