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概要

海外探検隊_7

研究室研修:シンガポール国立大学 熱帯海洋科学研究所Tropical Marine Science Institute(TMSI)シンガポール国立大学(NUS)の熱帯海洋科学研究所(TMSI ) という、サンゴの研究を行っている機関でプロジェクトを行いました。始めに、サンゴ礁とは何か、今シンガポールで起こっていること、それがサンゴに及ぼす影響、それをうけて現在研究室が行っていることを教えていただきました。具体的には、シンガポールは建国以来ずっと、急激な経済発展や人口増加を続けており、対策として埋め立てによる国土の拡大を進めてきました。驚くべきことに、建国以来50年間でその国土は20%も増加したそうです。ところが、それによりサンゴ礁の急激な減少が起き、問題視されるようになりました。そのような背景の中、私たちはこの研究室でサンゴ礁再生の取り組みのお手伝いをさせていただきました。今回携わった研究の目的は、サンゴ礁の養殖に適した①種、②場所、③季節を知ることでした。具体的な方法として、これまでの研究で比較的ストレス耐性があると判明した2種のサンゴを特定の2つの海域に時期をずらして移植し、その後の生存率および成長率を追跡しました。私たちが実際に行った作業は、サンゴと物差しの画像からサンゴの生存率や実際の大きさを算出する仕事でした。これは、専用のソフトを使うのですが、それでもかなりの集中力および忍耐を必要とする作業でした。初めの3日間はひたすらこのデスクワークをこなしました。サンゴの生死や部分死の判断が非常に難しく、わからないときは現地の研究員の方に相談をしながらデータ処理を行いました。最終日は場所を変え、船に乗ってセントジョーンズ島へ行きました。ここでは実際にサンゴの養殖のお手伝いをさせていただいたり、巨大シャコガイの洗浄、水槽の掃除などを行いました。その日の作業を終えると、小型の車のような乗り物で島を周回し、最後には海に入りました。島にはココナッツが落ちていたり、南国の木が生えていたり、島の周回中は、日本とは異なる生態系に目を奪われました。NUSでのプログラムを終えて私たちが感じたことは、現地の学生の能力の高さです。一つ例を挙げます。リサーチプログラム初日、私たちは18:10に研究室を出ました。ちなみに研究室のコアタイムは18時までです。コアタイム終了から10分しか経っていないというのに、驚くべきことに、私たちの帰宅時にはすでに、他の学生は誰一人研究室には残っていませんでした。なぜなら、彼らは決められた時間内にその日やるべき作業を全て終わらせ、コアタイム終了とともに帰宅したからです。私自身、現在研究室に所属していますが、自分の研究室に置き換えてこれを考えてみると、本当に信じられません。この時、私たちに欠けている力は、まさにこれだと思いました。より効率的にものごとを進める力、これこそが今後私達がつけるべき力なのだと思いました。(武井 萌海)17