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概要

海外探検隊_6

企業研修:タイユニオン品質管理部門と生産部門の研修についてご報告いたします。この二つの部門で、12日間の研修期間の半分以上の時間をかけ、まさに食品加工の現場で研修をさせていただきました。品質管理部門では、食品としての安全を守るための、製造ラインにおける工程を学びました。サーモンの質の確認から、解凍、洗浄、加工、包装、検品、そして箱詰めまで、多くのチェックポイントが設けられて、確認項目の具体的な温度や濃度、確認の頻度など、非常に細かく教えていただきました。チェックポイントは、リスクを予測して未然に防ぐ、という観点から作られており、あまりの項目の多さに驚くとともに、安全な製品を届けるための努力に感銘を受けました。また、原料のサンプリングについても教えていただきました。サーモンを解体し、その肉や皮に欠陥がないかを確認する作業で、欠陥があった場合は写真を撮り、供給者側に報告をしていました。サンプルに使われるサーモンの数はとても多く、それだけ原料の品質は重要なのだと知りました。これらの研修は、製造ラインを間近に見て、時には実際に触りながら行いました。それによって、品質管理の具体的なイメージが出来たことはもちろん、安全な製品を製造することがいかに重要かを理解できました。将来働く際に、たとえ加工の現場での勤務でなくとも、品質管理の重要性は忘れずに働かなければならないと思いました。生産部門では、歩留まりと作業効率に注意して製品を加工していることを学びました。タグを使用して各従業員の作業効率をチェックしたり、副産物的な製品(By product)を製造して歩留まりを上げたりと、様々な工夫がなされていました。品質管理部門と同様に温度についても確認していたのですが、こちらは作業をしやすい硬さのサーモンの温度を品質管理部門より狭い範囲で設定し、その範囲内になるようにしていました。作業効率を上げる、という言葉を聞くと、人間の技術を向上させたり、機械を導入したり、という加工する側のことばかり考えていたのですが、加工される側の状態を整えるという方法もあるのだと知り、目から鱗のようでした。また、血合肉の取り除き・骨抜き・すしネタ用に規格通りのサイズにスライス、といった作業もさせていただきました。実際にやる前は、従業員の方々がすいすいと作業をされていたので、簡単そうだと思っていました。しかし、いざ自分で作業をしてみると、とても難しく、何度もミスをしてしまいました。慎重に作業をしすぎては効率が悪く、サーモンの温度が変わってしまうのですが、スピードを意識するとロスが増えて歩留まりが下がってしまうからです。従業員の方々は、スピードも速く、ロスも少なくて驚きました。実際に作業をして初めて、従業員の方々がいかに高い技術を持っているかを感じることが出来ました。従業員の方々の技術に感動すると同時に、そうした人材を何人も育てているタイユニオン様の企業力の高さを感じました。生産部門では、エビ工場でも製造の流れを教えていただきました。サーモンの加工と重なる部分も異なる部分もあり、エビ加工のよい点をサーモン加工にも取り入れられるのではないかなど、考えを深めることが出来ました。また、エビ加工自体も非常に奥が深く、もっと勉強したいと思いました。サーモン加工でも、エビ加工でも、日本人向けの製品をタイで作るということで、味に対する感覚のギャップを埋めるために様々な工夫をしていました。グローバル化の進む今、こうした工夫はどんな分野でも必要なのだと感じました。この研修の中で、温度一つをとっても品質管理の視点と生産の視点があったり、サーモンの加工とエビの加工を比べたりと、様々な観点から物事を見て考えることが多くありました。異なる観点からものごとを見ることで、新しい発見があり、より良いものを生み出すことが出来ることを学びました。食品加工の現場を知ることはもちろん、考えを深めたり、様々なものの見方を知ったりと、今後に活かせる学びの多い日々を過ごすことが出来ました。また、関わってくださる方々の温かさを強く感じました。約3週間の研修は、タイ人パートナーのWawとFonとともに過ごしたのですが、工場での研修中だけでなく、市街地に出かける際や休日も、タイ語の通訳をしたり、タイの文化を教えてくれたりと、本当に助けられました。また、私たち日本人にとっての当たり前に、「なぜ?」と問われることも多く、日本の文化を見つめ直すきっかけにもなりました。東洋冷蔵社員の梅津さんは、研修中、私たちのことを非常に気にかけてくださり、どういう部分に注目すべきか、どんな部分に苦労があるかなど、様々なお話をしてくださいました。些細な質問にも熱心に答えてくださり、より深く考え、学ぶことが出来ました。多くの方々に支えられた今回のプログラムに参加させていただき、本当に感謝でいっぱいです。(門田 幸音)35