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概要

海外探検隊_6

薫風に誘われて、マレーシア国立サバ大学・熱帯生物保全研究所へ連なる坂道をそぞろ歩く。途中、マレーシアシャクナゲの香が漂う。器を埋めた池の傍らにしゃがみ、木々の新しい葉の色と空の青さとが溶け込むさまに魅せられる。しばしして、学生たちが待つ実験室へと歩を進める。この時期、南シナ海に沈む夕日、夕映を追う日が多くなる。一日の任務を終えて沈む太陽を見ながら、初めてマレーシア・コタキナバルへ来た頃を思い返す。日本から飛び出し、海外で現地の学生を育てる一方、母国日本とマレーシア・サバ州を密接な関係に結びつけたい。赴任当初に思い描いた理想の一端をこのたび、東京海洋大学海外探検隊マレーシアプログラムのコーディネターとして実現させて頂いたことに感謝する。マレーシアプログラムは、大学をあげてグローバル人材育成に取り組んでいる東京海洋大学と、「エコキャンパス」をスローガンに広く海外からの留学生を招き入れボルネオ島の有する豊かな生物多様性を国内外に発信しようとするマレーシア国立サバ大学との大学間交流協定に基づくものである。本書では、短期海外留学を単に一巻の知識としてではなく、現地大学関係者、広くはその地域社会に生きる人々を巻き込んで、如何にして自然・人・文化に対して理解を深め、持続可能な日本と海外との共生関係を築き上げていくべきなのかを具体的な体験談と共にわかりやすく説明している。小松俊明教授は、日本のグローバル教育に携わる研究者であると共に、東京海洋大学が推し進める国際社会を引率する人材開発を念頭に置き、グローバルマインドの醸成を訴える「海外探検隊プログラム」の開発者である。私は、本プログラムを通じて小松教授と何度か親しく接する機会に恵まれたが、その精力的な仕事ぶりと、素直で暖かみのある風格に感銘を受けた。まさに、智に支えられ、知的に生きてきた人物であると言える。本文の随所には、海外経験の少ない読者にもわかりやすいよう、図・表・写真を取り入れ、内容の理解を進めやすくしている。本書を通読すれば、東京海洋大学の目指す「海外探検隊プログラム」の概要を眺め渡すことができるであろう。この書が、将来、本プログラムへの参加を希望する読者に対しても意識や行動の変化につながるきっかけをもたらしてくれることを心から念じている。また、海外探検隊に志願し、マレーシア・ボルネオ島・サバ州に興味を抱いてくれる人が今後一人でも多くなるきっかけを本書が与えることになれば、望外の喜びである。最後に、マレーシア国立サバ大学熱帯生物保全研究所所長であるチャールズ・バイラパン教授には、海外探検隊マレーシアプログラムのUMSプロジェクト立案の時点から編集・実行の段階まで、きめ細かく目を通して頂いたことに感謝している。マレーシア国立サバ大学 熱帯生物保全研究所上級講師(天然物有機化学)鎌田 昂活動報告書の発行に寄せて表紙コンテスト 優秀賞 マレーシアチーム表紙コンテスト 佳作 台湾チーム3