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概要

海外探検隊_6

企業研修:ヤンマーヤンマーR&Dセンターでは、エンジン部門でディーゼルエンジンの耐久試験や排ガスの検査、ケミカル部門でバイオディーゼル燃料の生成を行っています。今回、私たちは2チームに分かれ、エンジン部門とケミカル部門で、それぞれ1週間ずつ研修をさせていただきました。バイオディーゼル燃料とは、オリーブオイルや魚油、R&Dセンターで使われているジャトロファという植物などの、生物由来の油から作られる燃料で、地球温暖化の対策となる燃料として注目されています。しかし、バイオディーゼル燃料は軽油に比べ、粘性が高く不純物を多く含むため、エンジンが傷みやすくなる、フィルターが詰まりやすくなる、排気ガス内の窒素酸化物の割合が高くなるなどの問題があります。そのためR&Dセンターのエンジン部門では、エンジンの耐久試験や排気ガスの成分などの検査を行っています。耐久試験では1,000時間エンジンを稼働させて、部品の磨耗、消耗を計測します。私たちは今回、稼動前の部品の計測をさせていただきました。熱で金属が膨張してしまうので、部品の計測は一定の温度に設定した涼しい部屋の中で行います。私たちは2日間、机に向かいながら一日中、黙々と計測を行いました。計測に用いる機器は部品によって異なり、各部品にふさわしい機器を選びながら計測を進めていきます。各部位の計測は複数回ずつ行い、手の温度で金属が膨張することを防ぐため、ゴム手袋をするなど、細心の注意を払って計測しました。しかし、注意深く測定したにもかかわらず、計測結果は以前、ヤンマーの方が計測したものと大きな差がでてしまいました。このように、一見簡単に思えるような作業も、実際に完璧にできるようになるには、経験や細やかな集中力、忍耐力が必要だと実感しました。残りの3日間は、1,000時間の稼動を終えたエンジンを、部品の緩みがないか測定を行いながら分解する作業を行いました。私たちの面倒を見てくださったレイナーさんは、分解作業をしながらどの部品がどのような働きをするか、事細かに説明してくださいました。私たちは工学系の人間ではないので、専門用語は知りませんでしたが、難しい単語も、簡単な単語に置き換えて説明してくださったり、初歩的な質問にも丁寧に答えてくださったので、一つずつ理解しながら作業を進めることができました。全部の部品を分解していくのは、とても時間がかかる大変な作業でしたが、分解していくにつれ、自分たちがいままで計測していた部品がどこでどんな役割をしていたかがわかり、達成感を感じることができました。R&Dセンターのエンジン部門での研修を通して、エンジンは細かな部品から成り立っており、その部品はとても繊細だということ、私たちが日常生活で使用しているエンジンは、このような地道な計測や測定作業により、安全性が保たれているということを学びました。また、エンジンに限らず、私たちは日々の生活で気づかないうちに、どこかの国の様々な人々の働きに支えられていて、「仕事」というのは、お金をもらうために労働をするということだけではなく、世界中の人々の助けや支えになるという側面もあるということに気が付きました。自分も将来仕事をするとき、どんな仕事であっても誰かの役に立てているという気づきを忘れずに、プライドを持って全力でやり遂げたいと思います。(松島 彩)28エンジンチーム研修