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概要

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2. 国際連携が大学改革に果たした役割2.1 どのようにして連携先を選んだかアジア5 カ国に学生を1 ヶ月派遣し、現地に進出している日本企業にてインターンシップに近い形の企業研修を体験させることを計画した。その際に現地に進出している日本企業から協力を得やすいようにするためには、一工夫が必要と考えた。その結果、海外進出している日本企業が採用したいと思っている現地で評判の高い大学を本学のパートナーに選び、その大学から学生を派遣してもらって、本学の学生達と一緒に企業研修を受けるプログラムとすることにした。その観点からすれば、候補先選びは容易であった。なぜなら、現地のトップ大学はすべて総合大学であり、本学のような専科の理系大学の専門分野を持ち合わせていることが多く、規模もちょうど相手の一学部と本学全体がマッチしている。本学は大学全体で2,000 人規模だが、先方の大学の学部は少なくても同規模から、その倍くらいまでのケースもあった。どちらにしても専門性という観点では、本学には競争力が十分にあるし、世界ランキングでは到底比較にならないアジアのトップ大学との連携が次々と実現していった背景には、前述した海外探検隊プログラムの存在が大きな役割を果たしていたことは言うまでもない。2.2 連携先候補の反応について実際アジアのトップ大学は、毎年のように世界大学ランキングの順位を上げており、言わば世界各国のトップ大学から国際連携をしたいという要望が日々寄せられている。そうしたことが容易に想像できる中で、アジアのトップ大学との国際連携に対して、それが本当に実現できるのか、学内で懸念をもたれたこともあった。しかし、その懸念はまったく杞憂に終わる。シンガポール国立大学、南洋工科大学、香港大学、台湾大学など、この4 つの大学はアジアを代表する世界のトップ大学の一角であるが、すべて海外探検隊プログラムを通した教育交流をきっかけに、正式な交流協定にこぎつけることになった。これらのアジアのトップ大学は、提携相手の大学規模やランキング等の格を見ているというよりも、実質的な教育プログラムを通した学生交流、研究交流が見越せるかどうかを冷静に判断していた。その点で、本学が日本の優良企業の支援を受けているプログラムであることが、すべての大学との交流のドアを開けたことは言うまでもない。2.3 異例続きの国際連携は現場の何を変えたのかさて、アジアのトップ大学との国際連携が立て続けに実現したことを受けて、正直なところ、本学の学内組織(委員会等)は、当初戸惑いがあったに違いない。ただし、世界の有名大学との国際連携、そして学生交流が進むに連れて、学生達、そして教職員の間にも、優秀な世界の学生達、そして世界の注目を集めて成長を続ける有力大学の現状を知る機会が増えていったことは否めない。教育カリキュラムやサマープログラム、大学間の様々な教育研究交流、留学生のサポート体制、そして教職員教育や待遇・評価制度に至るまで、アジアのトップ大学の現場はまさにグローバルスタンダードであり、日本の大学として学ぶべきことがたくさんある。海外探検隊プログラムという、継続性のある教育プログラムを通じた学生交流があるおかげで、本学と国際連携先との間には今、様々な情報のやり取りが生まれている。日本の大学が、グローバルスタンダードからの遅れを取り戻すには、こうした交流の機会は最大のチャンスでもあり、引き続き戦略的な国際連携の効果は大いに期待できるといえよう。3. 国際連携の先に見えてきた挑戦3.1 国際連携が開いた国内における可能性最後に、国際連携が実は国内でも大きな効果をもたらす可能性があることをここで指摘しておきたい。東京海洋大学に進学すれば、短期から中長期の留学先として、アジアのトップ大学に留学できることが、これで明らかになったわけである。今後さらにグローバル教育が世の中に広がるにあたり、日本の高等学校においても、グローバル教育の充実した国内大学への進学を学生に指導する現場が増えていくことは言うまでもない。このように、戦略的な国際連携は優秀な学生を国内で集めることにも一役買う可能性が高い。3.2 大学はこのまま高大連携に及び腰でいいのかただ懸念がない訳ではない。「グローバル教育を通じた高大連携」を進めていかなければならないことを筆者は痛感している。しかしである。高大連携の必要性が言われてから長いが、特に大学側はあまり積極的ではないという指摘が多い。その点、本学も例外ではない。今、大学間の国際連携の先に見えてきたのは「国内における高大連携の充実」であり、その実現までは本学も「S 評価」に浮かれてはいられない。51