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概要

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シンガポール国立大学Tropical Marine Science Instituteシンガポール国立大学のTMSI(Tropical Marine Science Institute)という、サンゴの研究を行っている機関でプロジェクトを行いました。サンゴまたはサンゴ礁とは何なのか、今シンガポールで起こっていること、またそれがサンゴに及ぼしている影響、そして、この研究室が取り組んでいるサンゴ移植について、勉強させていただきました。サンゴとはポリプでできている動物であり、そこへ褐虫藻(zooxanthellae)が、共生しています。シンガポールでは埋立てが盛んなため、海の中で沈殿物などが舞い上がり、海の透明度を低下させ、サンゴの減少を引き起こしているのが現状です。そこでサンゴを増やしていく方法として取り組まれているのがサンゴ移植です。サンゴ移植に、どの種類のサンゴが適しているかを調べる作業を実際にやらせていただきました。サンゴの写真一枚一枚から長さ、面積などを測り、パソコンでデータをまとめていきました。この作業は一見簡単そうですが、実際にはパソコンのマウスを使って線を描いていくのがとても難しく、大変時間と労力のかかる作業でした。2日間パソコンに向かい、3種類のサンゴの比較のための写真を600枚以上処理しました。処理したデータを元に、サンゴの成長率や致死率(Tissue loss)を計算し比較することで、どのサンゴが移植に適しているかを導き出しました。3日目にはTMSIの研究施設があるジュロン島に行き、研究についての説明を受け、サンゴやシャコガイの水槽の見学や水槽の清掃も行いました。その他にも、シンガポール国立大学の学生のポスター展示会を見学したり、研究室の方々と食事をとりながらの交流など、多くのことを経験させていただきました。プロジェクトを通して、サンゴのことやデータ処理のしかたを学ぶだけではなく、サンゴについて学ぶことにより、シンガポールだけでなく世界中で起こっている環境問題を考え学ぶきっかけとなり、自分たちの視野を広げることができました。また、今回の経験で最も勉強になったことは、表には出てこない研究するということの大変さです。「研究」と聞くと、華々しくかっこいいというイメージを持たれがちですが、地道で大変な努力が必要とされることを、実体験として学ぶことができました。同時に、結果を得た時の大きな達成感も知りました。今後、4年生になるとそれぞれの研究室に所属しますが、今回の経験を通し、違った視点で研究に取り組んでいけるのではないかと思います。(尾上 千桜里)33