海外探検隊 Vol.25
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宮村賢 8月25日から9月9日までの期間ベトナム技術アカデミーでの研修を行いました。10日間の研修では Microalage(微細藻類)について学ぶことができました。この研修がベトナム隊のメンバー4人だけで現地の方と長くかかわる最初の機会になりました。 最初の2日間は微細藻類についての講義を受けました。藻類の種類分けや成長に関する事、藻類由来の毒素、食料の安全保障について教えていただきました。特に貝類や魚類による中毒は藻類由来であることが興味深かったです。私は過去に貝類を食べて当たったことがあったため、その経験は藻類によるものだったかもしれないとわかりました。日本は毒にも対応できるような魚介類についての規制制度や管理体制を確立できているが、未だに低い基準で対応している国もあるため、藻類が安全管理に与える影響を各国が理解していく必要があると感じました。藻類は人間にとって有益な物質も蓄えているため、利害を理解して適切に関わっていくことが課題だと理解できました。 3日目以降はラボで実験を行いました。培養液の調製や微細藻類の観察、藻類の主要成分組織の測定を行いました。培養液の調製はアルコール消毒や加熱による消毒を施し、フラスコとピペットなどの器具同士の接触を避けて慎重に行ったため、難しい作業でした。微細藻類の観察は VAST の近くにある西湖でネットを用いて採水を行ってラボにサンプルを持ち帰り、□微鏡で観察しました。□微鏡を通して微細藻類の色や形、大きさの違いを確認することができました。 微細藻類の主要組成成分組織の測定では、たんぱく質と炭水化物と色素と脂質をそれぞれ計自然科学と技術開発の基礎研究を行うベトナム最大の研究機関。ここで行われる研究からうまれた科学的な議論は、ベトナムにおける政策、社会経済の発展に影響する。 実験前に乾燥微細藻類の秤量をしている様子です。実験資料を熟読しています。 測しました。細胞膜を破壊して含有物を適切な方法で取り出すため、乳鉢とガラス粒ですりつぶしたり、冷凍したり、加熱処理したりして毎回異なる方法を知ることができました。普段学科では化学的な実験をあまり行わないため、遠心分離機や磁石を用いた撹拌機など興味深い実験器具を使うこともできました。ラボの方のサポートのおかげで初めて行う実験操作も安心して行い、実験を進めることができました。 VAST での研修を通して藻類が人間にもたらす影響を知ることができました。生活の中で直接目にすることはない小さな生物が大きな可能性と力を秘めていることが分かりました。専門的なことを私たちに伝わるように何度も言い換えながら伝えてくださったり、研修の内容以外でもたくさん話しかけ関わってくださったりしたラボの方々に感謝しています。 7 ベトナム科学技術アカデミー

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