ているそうで、その際に一緒に捕まえてしまった貝などは丁寧に網から取り除き、次の日に海に返すそうだ。また、コウイカ類は、プールで卵を育て、2 週間~1 ヶ月ほどで海に放流しているという話を聞き、必要以上の資源は取らずに、自然と共生しようとする姿勢を感じた。blue crab は 1キロ 300~500 バーツで取引されるそうだ。色も雌雄によって変わり、青色がオス、黄色がメスで見た目も非常に美しかった。私たちはピーヨーの好意で blue swimming crab を食べたが、身がとても甘く非常に美味しかった。 次にクラゲのステーションに向かった。ここでは食用クラゲの加工を行っていた。クラゲを発酵させるため、ステーション全体が非常に強烈な匂いが漂っていた。 3 つの工程に別れており、重曹を入れてぬめりを取ったり、塩漬けにして水気をぬいたりしていた。加工されたクラゲは頭と足に分けられ、頭の部分は中国や韓国、日本に輸出され、足の部分はタイで消費されるそうだ。タイでは市場でクラゲの串焼きが売っており、タイスキやヌードルに入れて食べる。先週私も食べたがコリコリした触感で美味しかった。 その後、養蜂場を見学した。自然の餌では糖分が足りないため、定期的に砂糖を与えると聞いて驚いた。蜂が健康であれば、1 ヶ月に 2 回ほど蜂蜜がとれるそうだ。また、鳥が蜂を食べてしまうそうで、鳥対策のおもちゃが至るところにぶら下がっていたり、定期的にスモークを焚いて鳥を追い払うそうだ。また、養蜂場内のため池にウォルフィアというスーパーフードが育てられていた。調べてみると、タンパク質と植物性栄養素、亜鉛や鉄分が多く含まれた世界で最も早く成長する野菜である。味もマイルドで優しく、未来の食料資源として非常に将来性があると感じた。 最後に、チャアムビーチのメインステーションに訪れた。カブトガニやバイ貝、クマノミなどが育てられていた。ここでは天然色素であるアリザリンで貝を真っ赤に染色したり、カキの貝殻と灰を混ぜて人工岩を作ったり、ステーションの奥にある池にマングローブを植えたりした。自然との共生を考え漁業を行っていると分かった。 新しい学びを沢山得られたのはもちろんのこと、47 スで学んだマングローブや沿岸生態系の分布変化が炭素循環に多く影響を及ぼす可能性があるという点は非常に興味深く、これまでの学びが一連のストーリーとしてつながっていることを実感した。先生がアメリカ出身であることから、講義内の実験結果がメキシコ湾周辺に限定されていたが、今後は他地域の事例や比較研究も含め、さらに理解を深めていきたいと感じた。また、講義は当然アメリカ英語で行われ、講義内容も専門的であったことも加えて、普段よりリスニングに大変苦戦した。タイ滞在中はずっとタイ語訛りの英語に慣れていたので、発音やイントネーションの違いに改めて驚かされたが、同時に多様な英語に対応できる力をつけなければ国際的な場では通用しないと痛感した。夕方からは、来週から始まる研修の説明を受けた後、ピーグワンに Walking Street という海辺のマーケットに連れて行ってもらった。私たちが美味しそうな食べ物、飲み物に反応する度に、Do you want to try?と声をかけ食べさせようとしてくれるその優しさがとても身に染みた。残り少ないタイ生活だが、学問的な学ぶだけではなく、こうした人と人との温かい関わりを通して異文化理解を深めていきたいと改めて感じた。 <食品生産科学科 2 年 五十嵐琴里> <9 月 9 日> バンセーン研修 【本日のスケジュール】 10:00 プレゼンテーション 13:30 講義 18:00 Walking Street マーケット 【その日の学びと気づき】 本日は、cha-am ビーチ周辺にあるいくつかのステーションに行った。1つ目のステーションでは、マングローブと blue crab の説明を聞いた。この地域では、海岸侵食が起こっており、マングローブが独占種として生息していた。タイには 2種類のマングローブの木があり、チャンタブリで観察したマングローブと種や葉のサイズが全く異なることに驚いた。また、blue crab の漁を行っ
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