海外探検隊 Vol.25
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09:00 クラブ・バンク・ラーニングセンター 12:00 昼食 13:00 中国の神社、ラーマ五世のサマーパレス跡地シーチャン島の北部にある景勝地 【その日の学びと気づき】 今日の午前中はシーチャン島にあるクラブ・バンク・ラーニングセンターを見学しました。この施設ではサンゴ、ワタリガニ、イカ、バイガイ、ウミガメなどの様々な海洋生物の保全に取り組んでいました。ワタリガニの再生では卵を抱えた雌のカニを漁業者から引き取り、バンクでゾエア幼生として孵化するまで水槽に入れて、その後放流するそうです。雌のカニが卵を抱えたまま市場に出荷されれば生まれるはずのカニが全て死滅するため、この取り組みは有効的だと思いました。また、どの漁師がどのカニをバンクに渡したかをしっかり記録していたため、漁師にも不利益を被らせないところもよいと思いました。このようなワタリガニの資源量を回復させようとするバンクの努力に感心する一方で、僕としては小売店や市場の売り方も変えていく必要があると思いました。 9 月 1 日に市場を歩き回ると、かなりの数のワタリガニを一つの店だけで見ることができましたが、人気の無さからそこまで売れるような雰囲気はありませんでした。市場は多くの商品を間近で見ることができるのと店員と客の距離が近いなどの利点もあるのですが、特に生ものの場合は売れ残りの廃棄量がかなり多くなるという欠点があるのではないかと思います。ワタリガニであれば、生きたカニだけではなく、加熱したものや冷凍したものなど日持ちするものも増やしていけたらよいのではと思いました。日持ちする商品が多い方がその分食材の入れ替える頻度も少なくなりますし、廃棄予定だった生ものを商品に変換することも可能です。 僕としてはワタリガニの味噌汁が適当だと思います。味はもちろんおいしいですし、タイは親日的な国なので日本食は受け入れられやすいはずです。また、タイの食事は大抵の場合甘いか辛いかで胃に優しい味付けではありません。タイは ASEANの中でも高齢化が進んでいる国であり、これから優しい味付けの食品が人気になることは目に見えています。みその入手はもしかしたら難しいのかもしれませんが何とかなるはずです。そして、売れ残ったカニを鍋に入れてしまえばよいという手軽さもあります。僕としてはワタリガニの味噌汁により、廃棄量の削減と店側の収入の増加が達成できれば、不必要なカニの入荷が減ると思います。需要と供給のバランスをとるためにも、少ない量で高い収益を得られるように出来たらよいと思います。しかし、僕のこの考えは欠点も多いです。もしワタリガニ味噌汁の販売が好調であれば、ワタリガニの消費が伸びてしまうことや、味噌汁一杯にワタリガニがどのくらい使われるかわからないため値段がどうなるのかもわからないことなどです。言ってしまえば、机上の空論なので一つの可能性としてありかなと思い、記述してみました。 <海洋環境科学科 1 年 東出泰治> <9 月 5 日> バンセーン研修・理学部/報告会 【本日のスケジュール】 10:00 プレゼンテーション 13:30 講義 18:00 Walking Street マーケット 【その日の学びと気づき】 本日はブラパ大学理学部での研修最終日であった。5 日間という短期間であったが、海洋に関する知見を多角的に学ぶことができ、非常に有意義な時間となった。私は食品生産科学を専攻しているため、全ての内容が新鮮で刺激的であり、自分の専門と結び付けて視野を広げる貴重な経験となった。午前中は、それぞれが興味のある分野について自由に選んだテーマで、タイの先生や学生に向けてプレゼンテーションを行った。午後は、アメリカから来訪されたトーマス先生による海洋プロセス分析に関する特別講義を受講した。内容は、地球温暖化によってカニやロブスター等の園外生物の分布が変化し、そのことが堆積物中の炭素埋没や気候変動にどのように影響を及ぼすのかというものであった。特に、チャンタブリ-キャンパ46

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