西依秀隆 食用魚の養殖と販売を行うと同時に、魚病ワクチンの開発を行っている企業です。 写真は研修でお世話になった日本人研究者の方とドリアンを食べた時のものです。 おっしゃっていたことがとても印象的でした。研究室と養魚場は離れた場所にありますが、その業務は密接に連携しているのだと実感しました。さらに、養魚場では、従業員同士の頻繁なコミュニケーションや助け合いを何度も目にしました。このような現場―デスク間と現場―現場のつながりが企業の成長と働きやすい環境を作っているのだと感じました。それと同時に、日本では研究分野に限らず、現場とデスクの乖離が度々問題を引き起こしているように感じました。今回の研修を通して目の当たりにした人と人のつながりは今後の日本が大切にしていかなければならないことであり、私自身もこれからのキャリアにおいて活かしていきたいと思います。 最後に、お忙しい中、私たちの研修を受け入れていただき、1週間通して貴重な経験をさせていただいた Prime Aquaculture の方々に御礼申し上げます。 20 私たち 25 期シンガポール隊は2班に分かれ、合わせて1週間 Prime Aquaculture というシンガポールに拠点を持ち、主に魚類の孵化場および養魚場の運営とそれに付随した研究開発も副次的に行っている企業で研修に参加しました。 ここでは主に、培地作成などの研究室での業務補助や養魚場から届いた魚類の病理解剖、PCR の見学、そして養魚場を訪れ、魚類に対するワクチン接種を体験させていただきました。これらは生物資源学科に所属する私たちにとっては今まで座学で学んできた内容の実践であり、今後の実験の授業や研究室で行うであろう作業を先取りで学習できたことになり、とても有意義な経験でした。 まず、印象に残っているのは企業という組織に属する研究室は企業の利益追求という目的に強い影響を受けるということです。機材や試料にかかるコストに気を配ることはもちろん、研究する内容もなるべく利益につながる部分にのみフォーカスを絞ります。企業の研究室は、教育・研究機関である大学の研究室とは性格が異なるということを実感しました。 また、養魚場でも多くのことを学ぶことができました。貴重なワクチン接種という体験はもちろんのこと、生け簀ごとの魚群管理は給餌の頻度や別の生け簀に移すタイミングなど異なるバッチごとの管理が重要であるという気づきは日本では得ることできなかったものだと思います。また、一週間お世話になった研究室の方が、研究室の人間が養魚場のような現場に赴き、そこでの作業を行うことはコストパフォーマンスの観点から考えるとあまりよくないことだが、魚類や養魚場の様子を実際に目で見ることは研究する上で必要な材料であり、大切なことだとPrime Aquaculture
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