請川凪砂 25 期タイ隊は 9 月 8 日から 12 日の一週間、ブラパ大学の施設の一つであるバンセーン海洋科学研究所・水族館(BIMS)にて研修を行った。 BIMS での一週間の研修において、まず私たちはブラパ大学から約 260 ㎞離れたペッチャブリー県にあるチャアム海洋科学研究所を訪問しました。チャアム海洋科学研究所では希少な絶滅危惧種の繁殖研究や、沿岸水産養殖をはじめとした漁業資源の研究など海洋に関する幅広い研究を行っています。そこで私たちはタイの伝統的な漁業や高級食材であるバイ貝の持続的な養殖の為の調査法について学びました。伝統的な漁業では商用サイズに満たない魚やターゲット以外の魚を混獲しないように網目の大きさや網自体の構造に工夫が施されており、また網に絡まった貝殻も単なるゴミではなく、人工珊瑚の材料として再利用できるよう体制が整えられていました。バイ貝のサンプリング調査では貝が成長しても目印が落ちず、貝に悪影響を与えない自然由来の染料でのマーカーのつけ方を体験しました。チャアム海洋科学研究所での実習を通じて最も印象に残ったのは常に環境への影響を配慮して研究・養殖をしているということです。タイの漁師の人々はマングローブ林のすぐそばで川の上に家を作り暮らしており、日本よりもずっと身近に自然があります。その自然を維持管理しつつ、いかに水産資源を得るかという両立への熱量が日本よりも強いように感じられ、日本とはまた違った自然との関わり方を学ぶことができました。 チャアム海洋科学研究所から BIMS に戻った後は、残りの実習期間で水循環システムや生物飼育、展示方法について学びました。特に BIMS では生態系の再現や教バンセーンキャンパスの海洋科学研究所(BIMS)は、バンセーン水族館の経営・生物管理を行なっている。海洋科学研究の役割と得た知見を社会に還元する役割を担っている。 BIMS の皆さんとダムヌン・サドゥアック水上マーケットを訪問した際の写真 育的な展示が多いという印象を受けました。太平洋や紅海、アンダマン海など水槽ごとに各海の生態系を再現していたり、タイ湾の固有種や希少種、サンゴ保全プロジェクトなど生体展示と共にある保護活動のパネル展示の数がとても多く、世界規模の問題からタイ各地で生じているような身近な問題まで様々な課題に対してBIMS から来館者に問いかけているように感じられました。この BIMS での一週間の研修を通じて何度も感じたのは、国全体で環境問題解決や SDGsの達成に向けて取り組みを行っているということでした。3Dプリント技術を用いたサンゴ保全プロジェクトなど、世界最先端の取り組みについても政府と大学が協働で行うなど、国を挙げて解決を目指していることが何度も伝わってきました。日本に帰国してからも、この研修で学んだ「自然を尊重し、未来に残す姿勢」を大切にし、今後の日常生活や研究活動の中で活かしていきたいと強く感じています。 15 バンセーン海洋科学研究所・水族館
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