海外探検隊 Vol.25
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天後日菜子 ムーンケーキ作りの様子です。完成したムーンケーキを包装しています。 coffee は戦後の牛乳不足を背景に生まれた飲み物だと知り、食にはその国の歴史が深くかかわっていることを学びました。伝統的なお菓子であるムーンケーキ作りも体験し、ベトナムの中秋節の文化を学ぶことができました。今後は単に食を楽しむだけでなく、その背景にある歴史や文化にも目を向けたいと感じました。 また、HUST の学生は英語が堪能な学生が多く、工場見学に行った際も通訳など積極的にサポートをしてくれました。彼らは自国の文化に誇りをもっていて、世界の中でのベトナムの在り方を意識しながら行動している姿が印象的でした。そして皆とても明るく優しく、向上心をもって様々な活動に取り組んでいる姿勢に多くの刺激を受けました。今回の研修は、専門分野の知識に留まらず、自身の生き方を見つめ直すきっかけにもなったように感じます。改めて、HUST 研修を支えてくださった先生方、学生の皆さんに心から感謝申し上げます。 8 私たちは最後の研修先として、ハノイ工科大学のフードテクノロジー学科で約2週間お世話になりました。ここではラボでの実験研修に加えて、工場見学、多くのベトナムの学生との交流を通じて食品に関する多面的な学びを得ることができました。 私たちの所属したラボではスターチの研究を行いました。ここでは、スターチの水分・油分の吸収率や、スターチの最小ゲル化濃度、デンプンの透明度の測定を行い、様々な種類のスターチの性質を分析しました。ここでは一つ一つの重量測定に正確性が求められ、小さな誤差によって実験結果が変わってしまうことが分かりました。ラボでの研修を通して、実験の再現性を高めることと、結果の違いを分析する姿勢の重要性を改めて確認することができました。 また、私たちは研修の一環として、ベトナムの食品工場見学もさせていただきました。見学の中で、製造過程、保存方法や殺菌方法などにおいて日本との共通点を多く発見することができました。専門的な技能や知識は日本に限らず国境を越えて活用出来るものであり、日ごろの学習の積み重ねの大切さを感じ、今後の学習意欲が高まる機会となりました。 また、ベトナムの伝統的なバインミー作りを体験したことも印象に残っています。私たちはラボでスターチとイーストの研究を行っており、実際の調理を通してそれらの働きによる発酵や膨張の過程を直接観察することができました。普段口にしている食品が科学的なプロセスによって作られていることを理解し、学びをより実感する非常に良い経験となりました。 また HUST での生活では多くの食文化を経験させてもらい、それらを通してベトナムの歴史や文化に触れることができました。例えば、Egg ハノイ工科大学(Hanoi University of Science and Technology)は、ベトナムで最初の技術系総合大学であり、工学系の国内最高峰の大学です。 ハノイ工科大学 フードテクノロジー学科

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