海外探検隊 Vol.24
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棟朝遥香 ベトナム科学技術アカデミー(以下、VAST)では主に微細藻類についての講義の聴講、採集と観察、そして実験を行いました。 講義では、微細藻類の種類や特徴、魚貝類の自然毒、赤潮による環境への悪影響について学びました。魚貝類の自然毒について、国によっては日本ほど食品流通への規制や教育が普及しておらず、病気や死亡事故の例が多いことを知り、衝撃を受けました。日本の食品にまつわる法律は国民の健康、安全、命を守っているのだと気付かされました。また赤潮について、日本では養殖が行われているにもかかわらず、赤潮の減少を達成していることを知りました。その背景として、政府による政策や豊富な資金による技術的な対策の実現、そして国民への教育がなされているからだと学びました。魚介類の自然毒と赤潮、どちらも防ぐためには国民への教育が重要であることを学び、普段海洋大で海洋資源と環境の関わりを学んでいることを、専門家ではない一般の人々へどう広めていくべきか考えさせられました。また日本ではこれらの問題についてある程度対策が進んでいるため、他国から日本を参考にすべきだという視点を持たれていることを初めて知り、水産業における日本の安全のための対策をどう海外へ伝えていけるのか考えるようになりました。 採集では、ハノイ最大の淡水湖である西湖にて微細藻類を採りました。その際に、採集で用いる器具の使用方法について教えていただきました。採集した微細藻類は実験室へ持ち帰り、顕微鏡で観察しました。顕微鏡に映った微細藻類の名前と特徴について教えてもらいました。鞭毛によって動いている様子を見ることができ、とても興味深かったです。 実験では乾燥スピルリナを用い、タンパク質・自然科学と技術開発の基礎研究を行うベトナム最大の研究機関。ここで行われる研究からうまれた科学的な議論は、ベトナムにおける政策、社会経済の発展に影響する。 実験にて、微細藻類に含まれている成分を調べるためマイクロピペットを用いて試料を移している様子。 総脂質・炭水化物・色素含有量の測定を行いました。その過程で分液漏斗やデシケータなど実験を行う上で重要な実験器具の使い方を学びました。丁寧に作業を行うことは実験結果における誤差を減らし、より正確な研究を目指すことにつながるということを実感することができました。 最終日には、これまでの学びをまとめたプレゼンテーションとお別れ会を行いました。プレゼンではメンバー全員が学びを簡潔に、しかし充実した内容を英語で堂々と発表することができました。お別れ会では、私たちは J-POP の歌とダンスを、VAST の方々はベトナムで有名な歌を互いに披露し、文化交流を楽しみました。VAST の方々は常に優しく丁寧に教えてくださり、楽しく実りある二週間を過ごすことができました。サポートしてくださった VAST の方々、本当にありがとうございました。 7 ベトナム科学技術アカデミー

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