金子未夢 3 月 18 日から 23 日の 6 日間、私たちはバンセーンキャンパスの理学部で生活しました。この理学部は、今年から初めて海外探検隊がお世話になります。ブラパ大学のメインキャンパスであるここは、観光地として有名なビーチが近くにあり、徒歩圏にもショッピングモールや飲食店が多くあるという、過ごしやすい環境でした。 理学部での滞在中には、バンセーン付近の様々な場所を視察させてもらいました。マングローブ林では、そこに生息する様々な生物を実際に見ながら理学部の先生や学生から解説を受けたり、観光地としても有名なシーチャン島では、島にある海洋生物の研究所を訪れて解説を聞いたりしました。この研究所では、周辺の海に住む海洋生物の保護に取り組んでいました。印象的だったのは、卵を抱えた雌のワタリガニを漁師が捕獲したら、このカニをプールに移して幼生が生まれるまで保護し、生まれたカニを海に放流するという「カニバンク」の取り組みです。このカニバンクのプロジェクトはタイ全国で行われているらしく、バンセーンから離れたチャンタブリ付近の漁村でも同様の取り組みを見ることができました。日本でも水産資源の保護や管理は大きな課題でしたが、海外でも同様の問題意識があり、様々な取り組みが行われていることを改めて実感しました。 また、この活動のなかで、タイの魚食についても深く知ることができました。理学部の教授に連れて行ってもらったフィッシュマーケットでは、イカやムール貝、カキ、海ブドウといった様々な魚介が売られている様子を見ました。ここで印象的だったのはカブトガニの卵が売られていたことです。カブトガニの卵と、パクチーや様々な野菜を和えて味付けした料理に挑戦しバンセーンキャンパスにある理学部でも、海洋科学について学ぶことができます。実習や現場中心のマリンテクノロジー学部と比べると、理学部はより研究色が強いように感じました。 シーチャン島の研究施設でイカの幼生を放流する様子です。 ましたが、パクチーや辛い調味料がカブトガニの生臭さを消していて意外と食べやすいものでした。日本ではワサビや酢飯といったもので魚介の生臭さを和らげていますが、タイでは辛いソースがその役割を担っているのかもしれないと感じました。 これまで滞在していたチャンタブリキャンパスでは実地的な調査や学びが多かったですが、バンセーンの理学部に来てからは外出しながらもしっかり知識を得る機会が多かったと思います。タイの水産や海洋環境についてだけでなく、タイの寺院や仏教、タイでの生活についても、とても多くのことを教えてもらいました。理学部でお世話になる最終日には、教授の研究室でパーティーが開かれ、楽しい時間を過ごしました。日タイ交流の貴重な経験ができただけでなく、私たちの海洋大での学びにもつなげることができる素晴らしい時間でした。 14 ブラパ大学 理学部
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