海外探検隊 Vol.24
11/52

岩村葉月 2 月 21 日、私たちは VASEP の職員の方々にベトナムの水産について紹介していただき、その後ベトナムの水産・日本の水産について議論しました。 ベトナムは養殖大国であり、水産業の特色が日本とは全く異なります。エビやパンガシウス(ナマズの仲間)の原材料を他国に大量に輸出し、外で加工された水産物を再び大量に輸入するというスタイルは、実際に現地に足を運んで、現地の方々からお話を聞くまで知り得ないことでした。議論を通して、ベトナムの水産はベトナム国内だけでは完結しないこと、またそれは日本も同じであることに気づくことができました。日本の水産業を見つめ直していく上で、日本の外からの視点というのは非常に価値があるものです。 ベトナムの水産業について大枠を捉えたところで、職員の方々から日本の水産業についても尋ねられました。概要をふわっと伝えることはできても、具体的な事例について自信をもって伝えられなかったことが私の中での後悔です。しかし、今回の研修で自国の水産業について外国人に伝えるという経験を通して、外から日本の水産業についてより深く捉えることができたと感じています。議論中、日本では当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことを体感する場面が多くありました。具体的には、国内のコールドチェーンの整備や魚食に対する価値観、担い手問題などです。日本では、少子高齢化に伴った漁業従事者の労働者不足が顕著に表れています。しかし養殖大国のベトナムではむしろ人気の職となっており、今後さらなる発展が期待されているようです。水産業についてはもちろんですが、急激に経済発展している国の膨大なエネルギーを現地で実感し、非常に有意ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)は、ベトナムの水産物の競争力を強化し、ベトナムの漁業の発展を目指す非政府組織です。生産者から輸出業者、サービス企業などの広い分野のメンバーで構成されています。 VASEP 職員の方々とベトナム・日本の水産について議論している様子です。 義な時間になりました。さらに、職員の方々との交流を通して社会構造や国民性、文化の違いをも感じることができました。特に印象的だったのは、事務所で見かけた職員のほとんどが女性であったことです。議論を通して、ベトナムの女性は非常に温厚で、逞しいことが伝わってきました。未来の水産業について真摯に、そして力強く向き合うその姿勢は刺激的で、感銘を受けました。 帰国後も、ベトナムの水産業に強く惹かれ、自分事として捉えるようになり、視野が広がったと思います。ベトナムで養殖されている水産物は日本の身近なところに流通していたり、気づかぬうちに口にしていたりなど、帰国して初めて見える繋がりに気づくことができます。学際的な視点を得ることで、既存の日本の水産業にも新しい視点を取り入れることができ、素晴らしい研修になったと感じています。 9 ベトナム水産輸出加工協会

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る