尾里夏花 ハノイ工科大学では、フードテクノロジー学科の研究室で 3 週間お世話になりました。先生方や研究室の学生達と様々な実験やアクティビティ、工場への訪問などを行い、食品に関する様々な知識を身につけました。 研究室では、グラム染色や顕微鏡の使い方といった、食品微生物に関する基礎的な知識を教えていただいたほか、乳酸菌の分離実験にも取り組みました。私は海洋大で微生物学を学んでいましたが、英語での学習経験がなかったため、専門用語や内容の理解に苦労する場面もありました。そんな中、研究室の学生の方々が私たちの理解度に合わせて、丁寧に何度もわかりやすく説明してくださり、大変ありがたく感じました。実験では、乳酸菌を培地に接種して培養しましたが、うまくコロニーが形成されなかったり、観察がうまくできなかったりと、思うように結果が出ないこともありました。しかし、なぜ失敗したのかを自分なりに考え、原因を探る過程こそが理解を深める大きなきっかけになったと実感しています。 アクティビティでは、パンや豆腐、クッキー作りなどを通して、身近な食品に関係する食品化学について学びました。パンが膨らむ原理、材料を混ぜる過程で氷水を入れる理由など様々なことを教えていただきました。私たちが普段何気なく食べている食品にも、化学が隠れているということを実感しました。アクティビティ後には、作った食品を研究室の方たちと食べ、楽しい時間を過ごすことができました。 また、動物用の飼料工場の見学も行いました。この工場では、飼料の研究・生産・出荷・販売・品質管理といったすべての工程を行っており、規模の大きさや、ほぼすべての工程が機械化され、効率化された管理システムに非常に驚きま研究室の方とパンを作っている様子です。 した。 ハノイ工科大学での 3 週間の研修を通して、現地の学生が非常に高い向上心と積極性を持っていることを強く感じました。英語だけでなく、フランス語や韓国語など複数の言語を自主的に学んでいる学生や、海外留学を控えている学生も多く、一人ひとりが明確な目標や夢を持って大学生活を過ごしているのだと感じました。また、学生が積極的に教員に質問する姿や、学生同士で活発に意見交換している様子からも、少しでも多くの事を学ぼうという気持ちを強く感じました。このような意欲的な姿を目にしたことで、私自身も学ぶ姿勢を見直すきっかけとなり、今後の大学生活では、より主体的に学びに取り組んでいきたいと思います。 8 ハノイ工科大学(Hanoi University of Science and Technology)は、ベトナムで最初の技術系総合大学であり、工学系の国内最高峰の大学です。 ハノイ工科大学 フードテクノロジー学科
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