海外探検隊 Vol.19
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32 まず考えたのは、宗教の点から見てタイの国の仏教の文化は徳を積むこということを念頭に置いている点です。タイでの研修の2日目に寺院に訪れた際に学んだことですが、徳を積むという行為を重んじていることこそがタイ人の人間性の中核にあり、それによって誰に対しても寛容に接したり自分の家族や友人の健康を願って行動したりすることができるのだと思います。そのため、仏教徒であるタイの方々はそれぞれの文化を尊重しあって傷つけ合わない方法を選んだため今日までキリスト教の文化は生き続けられたのではないでしょうか。余談ですが、聖堂を訪れた際、案内人である男性から田中が何の宗教を信仰しているのか尋ねられた瞬間がありました。田中は何も信仰していないと答えておりましたが、その答えを聞いた男性は初め、かなり驚いた表情をしていたものの一方で日本人の文化を尊重し受け入れている様子も伺えました。宗教観というのは世界中の人々でそれぞれ異なるのは当然ですが、自分の考える当たり前が世界では当たり前ではないということを理解しておく大切さを再認識しました。 そして二点目の理由として考えられるのがチャンタブリは宝石の街として有名であることです。聖堂のシンボルであるマリア像や聖堂の内部を包む壁には沢山の宝石が使われていて、このような教会にはチャンタブリならではの長所が反映されていると感じました。教会を維持することはチャンタブリの発展にもつながるためにこの教会は存在し続けたのではないかと感じます。宝石とキリスト教の相関関係については残念ながら明らかにすることができませんでしたが、今後の学習を通してさらなる理解を深め解明していきたいと思います。 <7月31日> チャンタブリの町 今日はチャンタブリにある市場の中で猫カフェを訪れた後、市場周辺をタイのメンバーと散策してタイ最大の教会と言われるカトリック大聖堂に行きました。その後、チャンタブリで有名なお寺とその近くの基地の跡地を訪れ、最後にセントラル・チャンタブリというチャンタブリの中でも大きなショッピングモールでメンバーそれぞれ自由な時間を過ごして1日を終えました。 猫カフェは日本のものとは全く異なり少し違和感を覚えていましたが、カフェとして落ち着いた空間を保っていて居心地よく過ごすことができました。カトリック大聖堂は、想像以上に大きさが大きく、それと共に内部の構造はかなり精巧に作られていて日本の教会には見られない魅力を感じました。ショッピングモールでは、特にユニクロの価格が印象的で関税の影響で日本の価格よりもかなり高く設定されていることに驚きを感じました。他にも日本で見られる洋服ブランドや雑貨の価格が高く設定されており、タイと日本のギャップを感じた一日でもありました。 本日の中でも特に印象に残り、考えたことについて以下に記載いたします。私は1日を通して特に午前中に訪れたカトリック大聖堂がなぜチャンタブリにあるのかについて疑問に思いました。チャンタブリは首都から離れ、タイの中でも辺境の地と呼ばれる存在であるという点とタイの人の多くは仏教を信仰している点から考えてその理由が想像しにくかったためです。実際に調べてみると、19世紀半ばにフランスがインドシナ半島に進出した際にチャンタブリ一帯も支配し、そこでキリスト教文化を広げたことが影響しているそうです。そのときに、宗教迫害を受けてチャンタブリに避難してきたベトナム系のキリスト教徒のために教会は設立されました。そのため、今でもベトナムのコミュニティや生活習慣などはチャンタブリに残っていて寺や仏閣とともに東西文化が融合した独自の文化を作り出しています。これをふまえ、チャンタブリに大聖堂が設立されたことは理解できましたが国の憲法で「国王は仏教徒でなければならない」と規定するほどの仏教色の強い国でなぜキリスト教の文化が繁栄し続けられたのかを考察していきたいと思います。 エネルギー2・山口 太誠/メンバー

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