海外探検隊 Vol.19
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31 <7月28日> フィールドワーク 今日は、海水を使って石鹸を作る化学実験をした後、Bo Ploy Lek Petch Community Learning Centerに訪れ、宝石採掘の作業に取り掛かりました。その後、予定時間よりも早く終了したためWat Pak Nam Khaem Nuという寺院に訪れるというハードな一日となりました。 今回の石鹸を作る作業は、主にグリセリンを元にした材料に塩でできた花とスピルリナパウダーと呼ばれる化学製品を加えて、最後に採取した花でデザインするという私にとっては初の体験で非常に興味深い内容でした。 また、宝石採掘は実際に地下に降りてスコップを使う作業でしたので、非常に大変だと感じていましたが一方で仲間と協力して達成感を味わうことのできる貴重な瞬間でもありました。今日のアクティビティを踏まえ、特に考え、感じたことを以下に記します。 私は、今回の石鹸作りの作業をしていたときにふと石鹸と洗剤とではどちらの方が環境によいのだろうかということを疑問に思いました。調べてみると、合成洗剤に含まれているリン化合物などは植物プランクトンを大量発生させる問題や泡公害を引き起こす一方で、石鹸の主成分は天然油脂とアルカリのみであり、それらはプランクトンに分解されやすいため石鹸の方が環境に良いということがわかりました。ここで以前、自分が日報のテーマとしていた海の水について触れてみますと、海の水の水質悪化の主な原因となるのは油や洗剤を含む生活排水であることがわかっています。そのため、タイの海の水質の悪化を防ぐためには洗剤ではなく石鹸を使うことは効果的なのではないかと考えます。しかし、実際にタイのお店を見てみると合成洗剤が売られているのがほとんどで石鹸はあまり見かけられず、今はほとんどの人が洗剤に頼りきりである状況が伺えます。海の水質状況を変えるためにもこのような状況を改善するためには何をすればよいのか考察してみました。 まずは、「教育」という手段に重きを置くことです。今回の石鹸を作るようなアクティビティを通して、タイの人々の海洋環境に対する理解と認識を深め、それを言語化してタイ全体の人々に広めることはとても重要であると感じます。また、国としての政策と実際に人々の生活という現場における解決策にはギャップが生じていて、そのギャップがいかなるものであるかを理解するという考え方も大切であると考えます。 しかし、私がそれ以上に大切だと感じるのはタイの水汚染の問題がタイだけでなく日本や他の国も深く関係しているということの理解を多くの人がすることです。例えば、タイで使われている洗剤には日本から輸入してきたものも多く含まれます。私が最初にタイに訪れた際、花王が出している「アタック」のような日本の会社の洗剤がセブンイレブンで数多く販売されていて購入しやすかった経験からもそれは言えると思います。タイの人が洗剤を使うかどうかを議論する前に日本から輸出する洗剤をどういったものにするか、そして日本で石鹸を使わせるようにするためにはどうすればよいかを議論することから始めることも大切だと思います。 実際、タイだけでなく日本でも水質汚染は進行していてその解決方法を考えることはタイの問題にも関わってきます。また、タイの水質汚染の原因として地球温暖化も挙げられます。地球温暖化は世界中で進行する深刻な問題ですが、これによって植物プランクトンの増殖や生態系の悪化を招いていることを世界中の人が認識する必要があります。まだ根拠が少ない点が多いですが、今後の学習を通してどのようにしてタイと世界はつながり、問題を解決できるかを考えてみたいと思います。 エネルギー2・山口 太誠/メンバー

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