海外探検隊 Vol.19
27/40

27 <8月10日> フィールドワーク 本日から4人での研修が再開した。男子組、女子組のそれぞれが、3日間のホームステイでの体験や思い出を朝からひっきりなしに語った。午前中は先週までのラボワークの続きと、先週行ったマリーナとは別のマリーナに行った。 本日は、先週行ったマリーナと本日行ったマリーナの違いについて書こうと思う。先週行ったマリーナはセントーサ島の東側に位置しており、形状は湾型になっている。それに対して、本日行ったマリーナは本島の最南端に位置しており、運河の一部が利用されていた。両者ともにサンゴを見ることはできたが、NUSのSamさんによると、前者のサンゴは人工的に保護され、移植されたサンゴであるのに対し、後者のサンゴは自然のサンゴであるということだ。また後者のマリーナの方が、生物の多様性がみられるというお話をお聞きした。実際に水中をのぞいてみると、先週のマリーナよりも多くの種類の魚や海綿、イソギンチャクを見ることができた。この2つのマリーナの違いを挙げるとすれば、1つ目に海流の有無がある。 前者はその形状によりマリーナ内の水は動かない。一方で後者は2か所の水の出入り口があるため、マリーナ内の海水は常に動き続けている。水が動くことにより海底の植物プランクトンやデトリタスが巻き上がり、それを求めて動物プランクトンが集まる。動物プランクトンは小型の魚や甲殻類、さらにはサンゴの餌にもなりうる。 小型の魚や甲殻類が集まれば、それを求めて大型の魚が集まる。単純な食物連鎖ではあるが、海流はこのように生物多様性を豊かにするのに貢献していると実感した。2つ目はマリーナに生える海藻の量である。後者は前者に比べて圧倒的に海藻が多いと感じた。この違いがなぜ起こるかについて考えた。海藻は栄養を取り込むのではなく、光合成により成長する。したがって上記の海流はあまり関係ないと思われる。 そこで私は、マリーナに停泊している船の密度が関係しているのではないかと考えた。前者は所狭しに船がおかれていたのに対し、後者は前者と比較してゆとりのある置き方をしていた。この船の置き方の違いにより、海中に入る光量に大きな差が出たのではないか。海藻は魚の餌にも隠れ家にもなり、生物の多様性を豊かにするうえで重要な役割を果たす。 一方でサンゴにとっては競争相手になるため、海藻の繁茂を一概にいいとは言えない。しかしながら本日のマリーナのように、サンゴと海藻がともに生息しているということは、バランスの取れた生態系がそこに成り立っているのだと思う。船の置き方ひとつでこのような違いが生じるのならば、生態系保護のために配慮した置き方を考えるべきではないかと感じた。 フィールドワークで見つけたサンゴ礁 生物資源2・清水 良明/メンバー

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る