海外探検隊 Vol.19
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25 <7月30日> 社会考察 昨日今日と買い物に出かけて気づいたことについて、今日は考察しようと思う。それは、飲食店における高齢者従事者の多さである。 私自身、シンガポールに来てからマクドナルドに行く機会が多く、そこで高齢者の従業員が多いと感じた。キッチン、レジ、掃除など、すべてのクルーが高齢の方、もしくは大人の方なのだ。 対して日本では、マクドナルドといえば高校生や大学生がアルバイトで入っているイメージが強く、大人の方が少ない印象であると思われる。そこで宮田さんとの会話を思い出した。 以前、メンバーの一人がマクドナルドでアルバイトをしているという話から、マクドナルドの話になった際に、「こっちのマクドナルドは高齢者のアルバイト(従業員)が多いよ」とおっしゃっていた。マクドナルドを始めとして、飲食業界でこのような傾向の違いが生じるのはなぜなのだろうか。インターネットを用いて調べてみると、シンガポールで急速な高齢化が進んでいることに伴い、2019年に法定年年齢と再雇用年齢を引き上げる方針が発表されていたそうだ。具体的には、法廷定年年齢を2022年に63歳、2030年までに65歳に引き上げ、再雇用年齢は2022年に68歳、2030年までに70歳に引き上げることとなっている。このように、政府が高齢化に対する対策として高齢者を雇用することで、飲食店に高齢者が多いという状態が生じているのだと考えられる。 ここで、私はさらに役割分担という面があると考察した。シンガポールでは、外食産業が活発である。外食よりも内食、中食が多い日本と対照的に外食が多く、三食とも外食であることも少なくない。そのために需要が高い分野となっている。また、シンガポールは先進国でありながら現在も著しく発展を続けており、日本と比較しても進んでいると感じる点が多く存在する国である。 今後の継続的な発展のためには、最新のIT産業などへの従事者が必要になる。しかしながら、IT産業などは多少難易度の高い分野であり、スマートフォンにもそこまで慣れていない高齢者には難しいと考えられる。そこで、IT産業などの従事は若者が担い、需要は高いが仕事は単純なことが多い飲食においては高齢者がその役割を補うという役割分担を行っているのではないだろうか。ここにもシンガポール特有の「効率化」という観点が垣間見えるような気がする。 シンガポールは日本の人口動態を追いかけており、日本の現在の少子高齢化が顕著になっている人口ピラミッドに将来なると考えられている。 しかし、高齢化に対する対策は日本より先をいっているように感じる。日本はシンガポールの対策の仕方を見て学ぶべきなのかもしれない。 環境2・松崎 愛海/メンバー

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