海外探検隊 Vol.19
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北村 慧 ブラパ大学での研修を全て終えた後、海外探検隊の活動の総括として、バンコクにある日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所を訪問しました。ここでは、タイの一般的な情報から経済状況、政治情勢などについて学ばせていただきました。お話を聞くなかで私が興味を持った点は3点ありました。 1点目はタイの屋台についてです。タイでは、コロナウイルスの流行によって観光客がゼロになったことを学びました。私は路上に立ち並んでいる屋台は、その多くが観光客のためにあると考えていたため、観光業の衰退によって屋台が減少しなかったのか疑問に思いました。お話を伺うと、屋台は基本的に地元の方々に向けてであり、そのため多くの屋台がコロナ禍となっても生き残ることができたということが分かりました。また、私は渡航直後、タイのセブンイレブンの数に圧倒され、コンビニの増加によって屋台が減少してしまうのではないかと不安を覚えましたが、屋台は日本の惣菜屋のような立ち位置であり、コンビニとは需要が異なるため、屋台が減少する可能性は極めて低いと知り、安堵しました。 2点目は、タイは数年前まで日本の重要な農林水産物輸出先としてベトナムと争っていましたが、近年では輸出額の差が大きく開いてしまっていることです。私は、なぜタイはベトナムと差が開いてしまったのか気になりました。理由としては、タイは日本と同じように高齢化社会であるのに対し、ベトナムは若年層が多く、それゆえに多くの企業がベトナムに注目し、差が広がり始めていることが考えられました。 3点目について、タイは日系企業の進出数において3位という位置を獲得しており、4位のシンガポールと1000社以上の差をつけています。そのため、なぜタイが進出先として選ばれるのか気になりました。経済発展しているシンガポールとこれほどまでに差をつけることができたのは、それなりの理由があると考えたからです。主な理由としては、タイはASEANの中心に位置しているため地理的に有利であること、重工業に力を入れており、工業団地が多いことがあげられるということがわかりました。 屋台の例のように、現地で見て感じた疑問を、研修を通じて解決に至ったことはとても良い学びとなりました。また、現地のタイ人の方との対話も重要ではありますが、タイ在住の日本人の方とお話しすることで、日本人の目線から見たタイの状況について知ることができ、様々な人とコミュニケーションをとることの大切さを学びました。この機会を良いきっかけとして、今後も日本とタイの関係やタイの情勢について、常にアンテナを張り、注目していきたいと思います。 20 この企業は、海外進出を目指す中小企業を支援しており、進出する上での情報提供や相談に応じる等、諸外国との貿易拡大に取り組んでいます。また、外国企業の誘致活動など日本の経済発展にも力を入れています。 活動終了後にJETROのオフィス内で撮った写真です。 日本貿易振興機構(JETRO)

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