海外探検隊 Vol.19
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川野 桃子 バンセーンキャンパスで行ったフィールドワークを中心にご報告します。バンセーンでは、チャンタブリと異なり、学生ではなく、ブラパ大学にあるバンセーン海洋科学研究所の方々にお世話になりました。水族館のバックヤード見学や地元の市場見学、海岸の調査などをしました。 水族館のバックヤード見学では、水質などの細かな管理や展示の工夫を知ることができました。再度水族館を訪れると展示方法に着目するなど見方が変わり、水族館を訪れる意義を考えるきっかけになりました。また市場では、チャンタブリと同じく販売されているものは魚介類中心でしたが、種類や加工方法など異なる点も多くバンセーンという地域性を感じることができました。 海岸の調査では、貝の採取や海の水質調査等を行う研究室にお世話になりました。近くの海岸で砂浜に生息する貝類や多毛類などの生き物を採集しました。そして、研究室で図鑑や顕微鏡を用いて種を特定し、場所ごとに分けて採集した生き物の種名を記録しました。普段、種の特定を行わない私たちにとって特定は難しく、コツを教わりながら何とか特定することができました。見た目が異なっていても同じ種であったり、図鑑と大きく見た目が異なっていたりと、驚かされることばかりでした。種の特定方法を教わり、私は同種であるか否かについて誤った見方をしてきたことに気づかされました。チャンタブリキャンパスでも同様の調査を行ったため、生き物の多様性は実感していました。しかし、採集までは行わなかったため、バンセーンで詳しく種の特定方法を教わり、生物多様性に対する正しい捉え方ができるようになったと感じています。 私がブラパ大学の方々と活動する中で印象的であったことは、チャンタブリの学生も含め、生き物の種名に関する知識が豊富であったことでした。私自身は間近で生き物を見る機会は中学生からほとんどなく、存在を知らなければ見逃してしまいそうな生き物もいたため、生き物の多様性を実感させて下さったブラパ大学の方々には心から感謝したいです。 私はこれまで、生き物を守るために環境保護が大切であることは当然ながら認識しておりましたが、実際に生き物の多様性を間近にし、環境保護の重要性を一層感じることができました。 食品生産科学科の私にとって、研修内容は分野が異なるものばかりでしたが、このように気づきが多くありました。あまり手を出さない分野に携われたからこそ、幅広い知見を得ることができたと考えます。また、学年学科が異なる7名での活動は、人ぞれぞれ捉え方が異なることが刺激的でした。参加して本当に良かったです。18 バンセーンはバンコクから車で1時間半ほどの場所にあり、バスが走る広大なキャンパスです。学生や交通量が多く、水族館やホテル、病院もあり、自然豊かで静かなチャンタブリとは雰囲気が大きく異なります。 海岸での調査において、研究室の方々と一緒に貝などの生き物を探し出している様子を撮った写真です。 ブラパ大学/バンセーン研修 写真を挿入

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