海外探検隊 Vol.19
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清水良明 私たちは、日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所を訪問しました。日本貿易振興機構では、貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本企業の海外展開支援、外国企業の日本への誘致、日本の通商政策への貢献、開発途上国の支援と研究が行われています。私たちはここで、シンガポールの経済状況や法制度、食糧確保についてのお話を伺いました。 お話の中で最も心に残っているのがハングリー精神の持ち方についてです。近年のシンガポールの著しい成長は、若者のハングリー精神に起因していると教えていただきました。では、そのハングリー精神の源泉とは何かと考えた時、シンガポールの国の政策の具体性ではないかと思いました。お話の中に、長くても2030年までの目標を立てて、実行に移しているというものがありました。目標が具体的であると、達成までの道筋が立てやすく、国民のモチベーションにもつながると考えます。それに対して日本の政策は長期的で具体性に欠けるものが多いと思います。 シンガポールと日本を比較したときに、ハングリー精神を持っている日本人の大学生は少ないと思います。その1つの原因として、将来への不信感があるのではないかと考えました。シンガポールは今まさに成長中の社会であり、努力して高い地位を手に入れれば将来への希望があると感じられます。しかし、日本の社会は成長が鈍化し、将来への期待感は感じられず、努力して社会的な地位を手に入れたとしても希望の持てる将来かは不確かな部分が大きいと思います。この不信感が日本の大学生のハングリー精神を減衰させているのではないかと考えます。今後、大学生がハングリー精神を持つには何が必要なのか考えていきたいです。 また、日本はシンガポールと比べて、プロモーターとなる人材が不足しているということも学びました。プロモーターとは、事業化する際に方向性を決める役割を果たす人物のことです。研究者が多い日本であるからこそ、プロモーターのアイデア次第では、研究者の協力により事業は大きく発展していくと思います。私たちも、1つの事柄を多方面から観察し考察を深めることで広い知見を獲得し、このような役割を担えるようになりたいと思いました。 これらのお話を研修の初期に伺うことができたため、シンガポールでの研修期間中、常に疑問を持って行動し、有意義な時間を過ごすことができました。 12 この機構は、貿易・投資促進と開発途上国研究を通じて、日本企業の海外展開支援、外国企業の日本への誘致、日本通商政策への貢献、開発途上国の支援と研究を行っています。 写真は、URAのシンガポールの模型をバックに撮った写真です。 日本貿易振興機構(JETRO)

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