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概要

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31台湾隊はリサーチプログラムということで、3週間、メンバーは台湾大学海洋研究所の各研究室に配属されました。そして、私が今回の配属されたのはWei-Jen Chen 教授が担当されている進化遺伝学の研究室です。進化遺伝学を一言で言い表せば、生物進化の過程を調べ、遺伝系統樹(phylogenetic tree)を作成することが目的です。今回の研究テーマは、ヒメ科に属するAulopidae の遺伝系統樹を調べるというもので、具体的にはニューカレドニア付近で新たに採取されたAulopidae のサンプルと、既にインド洋やハワイ沖、インドネシア付近で採取され、解析が済んだAulopidae のサンプルがどのように進化してきたのかを形態学(Morphology)とDNA Sequencing を用いて遺伝系統樹を解析しました。今回の研究室での研修を通じて困難であったことは、主に2 つありました。1 つ目は、専門外のことを学び、研究することの大変さです。私は、海洋工学部海事システム工学科に所属しているため、普段の講義や実験演習で取り扱うのは主に「工学」です。それ故に、「生物学」に分類される遺伝系統樹には戸惑うことが多くありました。たとえば、専門用語がわからない点です。研究の一環で、Aulopidae の遺伝系統に関する英語で書かれた論文を読み込みましたが、初めは英語で書かれた専門用語がわからず、辞書を常に片手に読み進めていきました。それでも、英単語の邦訳の意味をも分からないことがしばしばあり、辞書と日本語の解説資料が欠かせませんでした。しかしながら研究室に所属していた3 週間の間はほぼ毎日、自らの研究テーマについて考え、わからないところは高校の生物の教科書レベルから復習する、もしくは研究室に所属している仲間に質問、相談をする等の努力を欠かしませんでした。このような努力の結果、自らの研究内容が、台南で開催された魚類学会でのポスターに生かされ、そして日本台湾交流協会で開催された成果報告会でのlab report では、教授からはお褒めの言葉を頂くなど満足のいく結果を得ることができました。2 つ目に困難であったことは、研究室の仲間とのコミュニケーションの取り方です。研究室での公用語は中国語であったため、中国語が全く分からない私は、他の仲間が英語を話してくれなければ輪に入ることができません。そこで一緒に食事に行く、積極的に趣味などの話題を自ら振る等の努力は欠かさないようにしました。最後に、今回の研究テーマは私の専門外であったものの、研究に対する姿勢や研究とは何かを知るよい機会となりました。今後の研究室生活にも生かしてい行きたいと思います。尾関友啓台湾大学海洋研究所(2)