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概要

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19ベトナム隊のうち2人は、Vietnam Academyof Science and Technology (VAST)のAlgalBiotechnology Lab (ABT)での研修に参加しました。VAST は日本でいう理化学研究所のようなところで、様々な専門分野の研究をしています。そのなかでABT Lab は、顕微鏡を使わなければ見えないほど小さな藻類、微細藻類について研究しています。その研究室は、顕微鏡の他にも多くの研究機材や藻類の入ったビーカーがずらりと並んでいて、薬品のにおいがほのかに漂ういかにも研究室というところでした。研修中、私たちは近くの湖でプランクトンネットを使ったサンプル採集を行いました。しっかりとサンプルが採れるよう水面を這わせるようにネットを引いてくるのが意外にも難しく、何度も繰り返しネットを投げ込みました。その後サンプルを研究室へ持ち帰り、顕微鏡で観察しました。様々な種類の微細藻類がひしめいていて、宝探しのごとく夢中で観察していました。生体構成物質の調査では、遠心分離機を数回にわたって使用し、タンパク質やクロロフィルなどの含有割合を調べました。藻類の種類によってその割合が異なるため、普段は種類を特定するために用いられています。培養実験では、使用する機器に菌などが混じらないよう、特別な機械を用いて高温高圧状態にしたり、焙ったりと殺菌消毒の徹底ぶりに驚きました。培養液作成の際は、薬品を小数点以下3 桁まで正確に量り取るので神経を研ぎ澄ませて臨みました。VAST では、大学ではなかなか体験できないような専門的な実験を行わせていただき、3,4年の研究室での活動を先取りしたような気分でした。英語で実験の説明を受けたり、薬品につて教えていただいたりと理解するのが少し大変でしたが、研究室の皆さんが丁寧に説明してくださったのでしっかりと納得して学ぶことができました。また、VAST の教授には微細藻類の構造、生態、実用性などについて直接講義していただきました。日本とベトナムを詳細なデータを基に比較したり、微細藻類が引き起こす赤潮などの環境問題にどう対応していくか話し合ったりと、とても深い学びを得られた時間となりました。研修を通して、身近な研究者から国外の研究者までが協力し合うことで、地域間の関係性や環境問題の大きさがわかってくることを知り、人と人が協力することで大きなことがなせると実感しました。VAST の教授も仰っていましたが、この研修を通しての日本とベトナム学生の繋がりがこれからの研究をより発展させていくと思います。VAST での研修は、私自身もまたそんな学生になれるよう精進していきたいと感じさせられる貴重な機会でした。井戸将輝VAST