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概要

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8私たちは、シンガポール国立大学(NUS)の熱帯海洋科学研究所(TMSI)で4日間の研究室研修を行いました。NUS は、大学ランキングでアジア1位になったこともある大学です。実際に訪れてみると、まずその大きさに圧倒されました。大学内の移動はバスまたは車が必須であり、英語の図書を扱う図書館に加え、中国語の図書だけを扱う図書館があるなど、毎日が驚きの連続でした。また、NUS は学生の約半数が海外からの留学生という特徴もあり、大学内の移動中のバスでは、シンガポールの多国籍文化が肌で感じられました。TMSI の研究室では、サンゴの移植に適した環境を調べるプロジェクトを2 つ行いました。シンガポールは海運のハブとしても栄えており、埋め立てによる新しい港の建設に伴い、サンゴを移植しなければならない現状があります。1つ目のプロジェクトでは、パソコンのソフトを用いて、海に設置したタイルの写真からサンゴや様々な種類の藻類の割合を求め、時間の経過とともにその割合がどのように変化していくのかを考察しました。2 つ目のプロジェクトでは、1 つ目とは異なるパソコンのソフトを用いて、異なる環境下においたサンゴの面積を求め、その変化量から、どの環境がサンゴの移植に適しているかを考えました。これらの作業は、黙々と何時間もパソコンの画面と向き合い、正確かつ迅速な処理が要求されました。全員が1 年生で、研究というものに初めて触れた今回の研修でしたが、研究の地道さを垣間見ることができました。また、私たちの研修をサポートしてくださったキクさんは、このようなサンゴの研究は時間と人手を要するため、思うように研究ができない難しさをお話ししてくださいました。TMSI は大学院の研究室であり、学部生で海洋について学べる場所はシンガポールにはないことを知り、サンゴが減少している現状を知ってもらい、今後さらに海洋についての研究を広げる必要があると強く思いました。最終日には、キクさんにNUS の中にある自然史博物館を案内していただきました。数多くの生物が展示されており、私たちが興味をもったものを一つ一つわかりやすく説明してくださいました。キクさんのお話を聞いていて、豊かな自然がいかに大切なものかが伝わってきました。NUS での研修を通し、今までは漠然としていた「研究」に対するイメージが、より具体的なものとなりました。まだ私たちが実際に研究室に所属するまでには時間がありますが、自分の将来像をしっかり持って、これからの学生生活を過ごしたいと思います。藤田冴英熱帯海洋科学研究所シンガポール国立大学