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概要

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30秋元七海私はVianney Denis 先生と三木先生の2つの研究室に配属され、サンゴの機能性についての研究をしました。人工知能(AI)を使うことで膨大なサンゴの機能性別のデータをより効率よく高精度で分析することが研究テーマでありました。3週間という短い期間の中でプログラミングの基礎、サンゴの勉強、そして上に述べた研究を進めていきました。機能性ごとにサンゴを約30個に分類する作業や集めたデータを多変量解析を行いグラフで表すなど、この分野の研究はとても新鮮なもので興味深いものでした。英語での慣れない環境の中で大変なこともたくさんありましたが、先生方が丁寧に説明して下さったり、周りの院生のサポートで乗り切ることができたと思います。渡邊博文私はSebastien Lavoue 先生の研究室に配属される機会に恵まれ、生物地理学の見地から、約20 種の淡水イワシの系統関係を研究するプロジェクトが課されました。海を横断できない生物の種分化には、大陸移動が大きな影響を及ぼします。そこで、地質学、地理学的見地から仮説をたて、その検証に分子生物学的手法で得られた系統樹を用いました。最後に導かれた考察は疑問のすべてを解決せず、角度を変えた試験を要するものでしたが、この活動の積み重ねこそが研究の醍醐味であり、科学が真に求めるものだと思います。このたび、その一角を経験できたことを誇りに思います。滞在中にお目にかかった先生、学生はみな個性的で魅力的で、彼ら彼女らと会話し、研究活動をともにする毎日は輝きに満ちていました。台湾隊は個々での行動が多かったので自分から積極的にルームメイトや院生に話しかけることで新しい人間関係を築け、コミュニケーションの輪を広げることができました。勤勉でユーモアにあふれている彼らとの生活は刺激的で毎日が発見にあふれ、とても充実したものになりました。台湾大学で学べたこと、そして関わったすべての人に感謝し、今後の生活に生かしていきます。なかでも、数か国からベジタリアンのかたがいらして研究なさっていたことが、強い印象を残しました。水産食品に関連する研究の意義が万人に理解されるものと安易に考えていた、自分の視野の狭さに気づきました。また、台湾においてベジタリアンは人口の約10%を占めるそうで、多様性を受け入れられる台湾社会に活気と魅力を感じました。なぜなら、多文化共生こそ人類の創造を支えるからです。企業の管理職における性比が偏るような多様性を欠いた社会では、弱者や少数者が苦しみの声を上げることも困難です。グローバル化が進む社会で、異なる文化や思想、個性を認めあうことが強く求められています。この海外滞在は、自国の社会や自身の学習環境を新たな視点で考える機会となりました。秋元七海渡邊博文台湾大学 海洋研究所