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概要

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1910 期シンガポール隊では2 人ずつに分かれて4 日間ずつApollo での研修に参加しました。Apollo はもともと観賞魚を輸入し、輸出する会社ですが、2015 年ごろからは食用魚の飼育と出荷も始めています。我々がApollo で行ったのは、主に食用魚の生活環境の整備としての水槽・フィルター清掃、水質調査、給餌です。Apollo には水質を安定させるためのろ過システムが5 種類存在します。そして、それらが正常に作動するためには、毎日の整備が欠かせません。そのため現場で働く方々は毎日システムの状態をチェックし、割れているものや詰まっているものがないか確認します。我々も、ろ過システムの一つであるドラムフィルターの清掃をさせていただきました。高圧洗浄機で、回っているフィルターの隅から隅まで洗浄するのですが、そのパワーは強くコントロールが難しいものでした。私は一つのフィルター掃除さえ苦労していましたが、それを指導してくださった男性は、そのエリアの水槽掃除・フィルター掃除・給餌全てをほぼ1 人で行っている様子で、その素早い作業は無駄がなく、効率的な動きでした。実際にApollo で魚の飼育現場を見ると、仕事ごとにではなく、エリアごとに人が配置されています。つまり、どのスタッフも魚を飼育するための一連の仕事の経験があり、5 種類のフィルターの水が通る順番を把握しているため、水質調査で何か水質に問題が見つかった時、どう対処するかの判断が速やかに行われます。全体の流れを知るスタッフを育成するには、ある特定の分野のみ教えるよりも時間を必要とします。しかし、様々な要因によって変化する水に住む魚を飼育する会社では、そのような視野の広いスタッフを得る方が、最終的には問題解決能力が上がるというメリットがあるように感じました。また、Apollo では、シンガポ―ルの少ない土地を最大限活用する工夫が存在しました。それが、”2-tier tank”と呼ばれる二階建ての建物です。この建物の中には、300g から1.3 ㎏にまでなる食用魚が飼育されています。驚くべきことに、Apollo はこれを八階建てにまでする計画を立てています。4人で計8 日間のApollo での研修では、シンガポールで水産物の生産をするために、全体の流れを知る人材を育て、細かなシステムを管理し、環境的欠点を乗り越えようとする様子から、会社経営のために必要な社員育成のあり方を深く学ばせていただいたと感じています。榛葉絢子Apollo Aquarium